福祉の道は一つじゃない 福祉現場の職員さんインタビュー
Vol.6

福祉のお仕事に就かれている職員さんに
突撃インタビューしました。
現場のリアルな声をお届けします!

インタビューvol6 平松亜希子さん、佐藤奈緒さん
インタビュー Vol.6

「40代未経験からの正社員」が叶った障がい者施設でのお仕事

インタビュープロフィール

生活支援員佐藤奈緒さん
障がい者支援施設吉城山ゆり園
障がい者支援施設とは
介護や援助が必要な障がいのある方を対象とした施設で、利用者の特性に合わせて食事や入浴、日中活動などをサポートしています。
佐藤奈緒さん

テーマ1

前職は区役所職員。未経験から転身

平松さん平松さん

吉城山ゆり園ではいつから働いていらっしゃるのですか?

佐藤さん佐藤さん

2021年3月からです。それまでは27年間、東京23区内の区役所で働いていました。

平松さん平松さん

東京の区役所で働いていたとは。どんな縁があって飛騨に来られたのですか。

佐藤さん佐藤さん

持病の喘息が悪化してしまったので、思い切って空気がきれいな飛騨に引っ越してきました。
飛騨を選んだのは知り合いがいたからです。2人の子どもがいますが、もう成人していますから子育ての心配はありません。しばらくは傷病手当をもらいながら暮らし、飛騨の澄んだ空気のおかげで体調も回復したので仕事を探すことにしました。

平松さん平松さん

そこで吉城山ゆり園で働くことになったのですね。

佐藤さん佐藤さん

はい。「40代、正社員、社会保険に入れる」という条件で探し、見つかったのがこの仕事でした。
区役所にいたときに福祉に関する業務をしたこともありますが、現場の仕事は全くの初心者です。
最初のうちは自分が携わった手続きが現場ではこういう意味を持っていたんだという発見が多かったです。

インタビュー風景

テーマ2

利用者の笑顔や優しい声掛けに癒される毎日

平松さん平松さん

どんな点にやりがいを感じていらっしゃいますか?

佐藤さん佐藤さん

やりがいよりも、責任の重さを痛感しています。何せ、転倒やけがなどは人命に直結してしまうこともありますから。そんな中でちょっとしたことで「ありがとう」と言ってもらえたり、行事でうれしそうな笑顔を見られるとこちらもうれしくなります。
また、利用者は皆さん本当に親切で、職員を慕ってくれているのを感じています。「気を付けて帰ってね」「かわいい服を着ているね」などの言葉もよくかけてくださいます。
ただ、もしかしたら利用者から見て職員は、人生の鍵を握る存在で、嫌われてしまったら生きていけないと感じて気を使っているのかもしれません。もちろん、こちらは仕事として接していますので、たとえ嫌なことを言われたところで接し方を変えることはありません。いかに気を使わせないかは課題だと感じています。

平松さん平松さん

そういう捉え方もあるのですね。いろいろな経験をされてきた佐藤さんならではの視点だと感じます。
ちなみに働いていて大変だと思ったのはどんな点ですか?

佐藤さん佐藤さん

施設には10代から80代までが生活していて、私が担当している棟だけでも20人ほどがいます。
人がいればいざこざは発生しますのでいさめるのが大変です。同僚に相談したり、同じ棟のスタッフだけの会議で話し合ったりしてより良い対応を探っています。

佐藤さんと利用者さん

テーマ3

無資格でも始められるため、環境を変えたい方に最適

平松さん平松さん

福祉の仕事についてどんな思いを抱いていらっしゃいますか?

佐藤さん佐藤さん

福祉はセーフティネットとよく言われていますが、それは働く側にとっても言えることでは。どの地域でも福祉の求人はあるでしょう。
会社勤めに行き詰った方でも、ここに来れば利用者と一緒にドライブをしたりお風呂に入れたりと全然違う業務が待っていて気分転換になります。
トイレ介助や食事介助などは「大変そう」と言われますが、子どもを育てていれば経験することですから強調するほどではありません。
資格がなくても始められる点も魅力ですので、環境を変えたいと思っている方はぜひ一歩踏み出していただければ。
また、「優しい人でないとだめ」ということはないのではと日々思っています。私はどちらかというと他人に無関心ですし、「人のためになりたい」と胸を張って言えるタイプではありませんが、むしろ他人に強く関心を持たないからこそ、フラットな気持ちで利用者に向き合いやすいのではと思います。

平松さん平松さん

なるほど。福祉の仕事をする上でどんな力が必要だとお考えですか?

佐藤さん佐藤さん

資格や知識がなくても始めることができますが、相手の言いたいことを察する、相手にとって何が一番良いかを考えるなどの人間としての力は必要です。
利用者の中にマッサージをすることが好きな方がいて、「肩を揉もうか」とよく言ってくれるのですがずっと断っていました。
夜勤に入っていたある日、頓服薬を取りに来たその利用者に「眠れない。マッサージをしようか」と言われたので迷いましたが「いっそのこと、気が済むまで取り組んでもらったら何かが変わるかも」と思ってお願いしてみることにしました。
すると、肩を揉みながらいろいろな話をしてくれて今後接する上で参考になることは多かったですし、とても満足したようで終わった後は頓服薬を飲むことなくスヤスヤと眠りにつきました。この対応が正解だったかはわかりませんが、相手に合わせた関わりをこれからも探っていきたいです。

佐藤さんと先輩職員さん